PROJECTS 印西市の新しいオリジナル

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PROJECT.06

印西ポップカルチャーをつくる人物をインタビュー!


インザイのジンザイ。

印西のオリジナルをつくるのは、街中でも目立つ人に違いない! 編集部が独断で選んだ“印西ポップカルチャー”を支える人物をリレー形式でインタビューします。

松岡歩さん(42)/日本画家

日本画家が描く、印旛沼の味わい。

ー私たちは印西市の「ジンザイ」をこうして追っているのですが、何故ジンザイを追っているのか。ジンザイを追うことにどんな意味があるのか。そう考えた時、急に「ものづくり」をしている人の声を聞きたいと思いました。というわけで、4人目のジンザイさんは、印西にアトリエを構えるクリエイターです。

松岡(以下「松」):どうもはじめまして。日本画家の松岡歩です。


ー こんにちは。仕事中お邪魔します。素敵なアトリエです! 日本画家の方と会うのは初めてなので、少し勉強をしたものの、固有名詞が多くて分からないところが多く……乱暴ですけど、「日本画」とは何なのでしょうか?

松:ええと……とても簡単に言うと、平安時代くらいの技法を脈々と受け継いでいる画です。絵の具は天然の素材を使っているんです。たとえば鉱物とか、石とか。

ー 素材が大事なんですね。天然というと、印西の石で絵の具を作ったりするんですか?

松:僕は市民になって日が浅いこともあり、まだ試していないです。でも、絵具に凝るのも時間をかける必要があります。僕はむしろ、そこにこだわるより、一枚でも多く絵を描きたいタイプですね。

ー なるほど、職人肌というのでしょうか…。どうして日本画家を目指したんでしょう?

松:美術を志した頃からの感触でした。予備校で勉強をしてるときに、「日本画はいいな」としみじみと思ったんです。大学で学んでいくうちに「これは、もしかしたら違うのかも」と方向を変える人もいます。でも、僕の場合は最初の選択が間違ってなかったなと感じています。

ー 性に合っていたんですね。最近、印西にアトリエを建てたと聞いたのですが、どうして印西だったんでしょうか?

松:生まれは神奈川なんですけど、物心がつく前からずっと千葉に住んでいて、千葉には馴染みがありました。印西に引っ越したのは2年前。若荻のあたりなんですが、ここにいたら日本の原風景に近い場所でスケッチをとりにいくのも楽ですし、大型スーパーにもすぐ行けますから。魅力的ですよ。

ー なるほど。まさに「印西バランス」を体現してます! 印西を題材にした画も描くんですか?

松:描きますよ。最近だと、建築家の隈研吾さんが設計した「瑞聖寺」に襖絵を奉納したんです。葦なんてどこにでも生えてると言うかもしれませんが、これは印旛沼の葦を描いたものなんです。

(Instagram:@matsuoka_ayumuより)

ー あ、Instagramでお見かけしました。実物を見ないと分からないと思うのですが、何だかすごそうです。きっと、この微妙な湿度と光の具合が印旛沼なんでしょうか、幽玄というのか…。

松:広大な印旛沼ならではの葦ですね。明け方の頃、水温があがって靄がでてきて……そんな、自然が生み出す幻想的な時間をイメージしたところもありました。この規模の沼というのはそうそうないものです。印西暮らしの恩恵のひとつでしょう。

画家として仕事を重ねるにつれ、こうした襖絵のご依頼も増えてきて、だんだん慣れてきました。印西も由緒正しいお寺が多くありますから、そうした場に日本画家として貢献できたら嬉しいものです。

怪しいものではないんです。画家です。

(Instagram:@matsuoka_ayumuより)

ー Instagramといえばすごいフォロワー数ですよね。「#日本画家」で検索すると、ヒット数がダントツです。

松:うーん、どうなんですかね。動物の絵が多いからなのか。動物って、世界中どこの人が見てもわかるものじゃないですか。

でも最近だと、急にインドで人気がでたりしましたね。今年インドで、妊娠中のゾウが爆薬の入った果物を食べて死んでしまったニュースが流れたときに、インドのフォロワーさんが僕の作品をひろめてくれて…、インドのフォロワーが2000人くらい増えたんです。

― SNSならではですね……! でも、それは松岡さんの作品がもつ、ユニバーサルなやさしさなんじゃないでしょうか。何を言ってるかよく分からないんですが、ほら、ぱっと見てよく分からない「オオサンショウウオ」にも1万以上の「♡」がついているのは、フォロワーさんの愛着を感じますよ。SNSで松岡さんを知って、展覧会に来る人も多いですか?

松:そうですね、こないだ、日本橋の三越で個展をしたのですが、けっこういらしていただけました。新型コロナの影響で開催は遅れたし、デパートも客足が減ってるそうですが満場に近いときも多く、ありがたいことです。

(Instagram:@matsuoka_ayumuより)

ー 何だか、素敵な話です。絵は現物を見ないと分からないでしょうから。やはり印西の人も、来るんですか?

松:それが、僕は近所付き合いがほとんどないから分からないんですよね……。

ー ええ。松岡さんはひきこもってるんですか?

松:というわけではないのですが、生活リズムが夜型で、他の住人さんと合わないんです。土日は知人の展覧会をまわることも多いので、ほんとに地域の方々と生活リズムが合わなくてですね……。

ー 作家らしい生活なんですかね…、ご近所付き合いが少ないとは。

松:そうですね…、けれど得体がしれない隣人だと思われることにも抵抗があるんです…。だから、この記事をご近所さんに読んでほしいですね。

ー なるほど。ぜひ読んでもらえるよう、頑張ります! 逆に、松岡さんが印西市に足りないと思うことはありますか?

松:うーん、たとえば美術館がほしいですよね。それこそ「住みよさランキング」の上位ですから、住んでる人の文化への意識は高いと思うんです。だから、印西の文化を大事にして楽しむ場があれば盛り上がるんじゃないですか。それが美術館であれば、文化的な資産も街に根づいていきますし。

ー ええとつまり、自分の作品を飾る美術館をつくってほしいということでしょうか。

松:急に変な要約はやめてください(笑)。僕の絵を飾ってくれと言ってるわけじゃないですよ。自分が観に行きたいんです。

ちなみに、来年の春に、画集の刊行記念展が全国の百貨店を巡回する予定なんです。だから実際、印西市にも展示をする場があったらうれしいですね。

ー コンパクトな施設でもいいから、あるといいものです。

松:場があれば、雰囲気が随分変わるんじゃないかなあ。あと個人的なことを言えば、印西在住の作家仲間が欲しい(笑)。
たまには一緒にお酒を飲めたりするといいな。

ー じゃあ、私でよければ今度飲みにいかせてください(笑)。
さて……こんな勝手な企画につきあってもらって、ありがとうございます。最後に何か、告知があればお願いします!

松:そうですね、さっきお話しした画集は、来年の春先に求龍堂という出版社さんから刊行される予定です。渾身の一冊ですので、お手にとってもらえると嬉しいです! 展覧会も是非お越しください!

PROFILE

松岡歩(AYUMU MATSUOKA)
神奈川県横浜市生まれ、印西市若荻にアトリエを構える日本画家。東京芸術大学大学院博士課程を修了し博士号を取得。松伯美術館花鳥画展大賞など多数の賞を受賞。「院展」やデパート、美術館、画廊での発表を行うほか、東京芸大でも非常勤講師を勤める。

*松岡さんの最新情報は、こちらをチェックください!
HP https://ayumu-matsuoka.com/
Instagram @matsuoka_ayumu

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ABOUT メイク インザイ オリジナルについて
印西市民の手で“印西らしさ”を一緒につくるプロジェクト「MAKE INZAI ORIGINAL」

千葉県北西部に位置する印西市は、千葉ニュータウンをはじめとする住環境と豊かな自然に恵まれ、「住みよさランキング」7年連続の全国1位も記録しています。しかし、そんな“住みよさ”の一方で、個性があまり目立たない……という声もちらほら。
「MAKE INZAI ORIGINAL」は、そんな印西に市民の手で“印西らしさ”をアピールするモノ・コトを作り出し、印西の新しい魅力を発信していくプロジェクトです。
新しい「印西のオリジナル」をアピールするイベントやワークショップを、継続的に行なっていきます!

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