印西ポップカルチャーをつくる人物をインタビュー!
インザイのジンザイ。
印西のオリジナルをつくるのは、街中でも目立つ人に違いない! 編集部が独断で選んだ“印西ポップカルチャー”を支える人物をリレー形式でインタビューします。
西田 恵さん/竹中技術研究所
上質な“ウェルネス”を呼ぶ、空間づくり。
– はい。インザイにうごめく「人材」を紹介するこの企画も、めぐりめぐって7回目。さまざまな世代・所属の方に登場してもらっていますが、今回は大手企業の登場です。印西市大塚を拠点に“真価値創造力”を追究されている 「竹中技術研究所」のジンザイさん。しかも二人に、登場いただきます〜。一人目は、「環境・社会研究部社会システムG」所属の西田恵さんです!
西田:はじめまして。所員の西田です。よろしくお願いします!
– 竹中技術研究所というのは、この地にできて約30年。竹中工務店さんの中でも先端的な研究を行う施設と聞いています。
西田:そうですね。建物を作るのが竹中工務店ですが、私たちは、その中で過ごす人の暮らしや環境、技術開発といった分野の研究をしています。
– 西田さんは、どんな研究をしているんですか?
西田:私の担当は、大きく言えば、人が健康に過ごすための空間づくり。「健康建築」を意味する“健築®︎”のプロジェクトです。たとえば階段をオフィスのど真ん中に置くと、ライフスタイルに階段を歩くことが入っていく。すると歩くことが仕事に組み込まれていって、自然と健康になるんだといった試みです。
– 私も始終オフィスで過ごしていますが、環境が人をつくるというのは納得です。うちにはそもそもエレベーターがないんですが…。そうした研究を、色々なオフィス空間で生かしている?
西田:いくつかの企業さんでやっていますが、一番分かりやすい仕事は、うちの研究所ですね。2019年にリニューアルしたんです。階段がセンターにあって、自由に座れるスペースがあって、巣ごもり的な空間もつくって。自由に居場所を選ぶことができるんです。
西田:おかげさまで(笑)。コロナ禍の影響で在宅勤務が推奨された結果、今は部分的にしか出勤してないのが残念ですが。様々な部門がありますが、私は「人」に寄り添った研究ですね。自分も含めた生活環境自体が、研究対象です。
– 研究しがいのありそうなテーマですね。仕事をするオフィスにしても何にしても、空間が日常をつくります…。建築の裏方として、環境をつくっているのですね。
場もつくるし、私は酒もつくる。その先に見据える「多様性」とは。
西田:でも、「どぶろく」作ったりもしてるんですよ(笑)。
– ええ! 何ですか急に。どぶろくって、お酒ですよね。
西田:三軒茶屋にある日本酒のベンチャー企業さんで「どぶろく」を作っているWAKAZEさんという会社があるんです。どぶろくって、濾過していない日本酒で、製造免許をとるのが日本酒ほど大変ではない。カジュアルなお酒として、色々なトライをしていて。たまたま縁ができたんです。
西田:発端となったのは、研究所の「調の森」というプロジェクト。詳しくはこのあとの宮田さんに聞いてもらいたいんですが、その一環で「蜂蜜」をつくっていまして。ゆくゆくは、地域活性化につながるプロダクトを作るのが一つの目的ですが、印西での私達の活動を伝える第一歩として、何かつくってみようと。
– なるほど。でもそれでどぶろくとは、素敵な企業さんです。
西田:私が日本酒好きなこともあったんですが(笑)、お酒が面白いかなと考えまして。それで伝統的な酒蔵さんとのコラボを考えて、見学やヒアリングをしてたのですが、なかなか新参者には大変だったんです。でも、結果としてWAKAZEさんとコラボできて、大満足のどぶろくができました(笑)。
– 素晴らしい……えっと、どこで飲めるんでしょう? 「なべだな」には卸してますか?
西田:残念ながらもう、飲み切ってしまいまして…。それにまだ酒販免許もないので、社外の人に楽しんでいただくプロダクトとまではいかなかったです。でも、素直においしかったです! 竹中工務店全体の納会でも好評でした。
西田:私はじつは東京の墨田区に住んでいるんですが、東京のズギュゥヴヴゥンッ…………という感じとは違って、風通しのいい場所ですよ。
– 東京は(JOJOっぽい)圧迫感があるんですかね……。実は東京のジンザイさんは、初めてなんです。
西田:たとえば、障害をもつ方々が働く「PIZZERIA OSOROKU」というピザ工房が職場から少し行ったところにあるんです。一言では言いにくいけど、東京の空気では実現できなさそうな、ゆったりとしたお店で。印西のやわらかな空気感のコミュニティができているんじゃないかな。
– たしかに、ゆったりはしてますよね、何だか…。そんな印西をこれから、どうしていきたいですか?
西田:古民家や広い敷地が多くあるから、そうしたコミュニティが育つ場面が増えるといいなと。私は、「多様性」に興味があるんです。とはいえ、今ビジネスシーンでよく語られる「様々な属性の人材が集まって、お互いの異なる知識や能力を生かす」といった意味合いとは少し違う気がしているんです。
– 興味深いです。多様性って、耳に馴染みすぎて、形骸化しているところもある気がします。
西田:つまり、「“身近に色々な人がいる”と互いに認識できるぐらいの環境」といいますか。近所の公園にいくと、オフィスワーカーもいれば、子どもも、お爺ちゃんお婆ちゃんも、障がいを持った方もいる。色々な人が当然のように「いる」のは、実は大切だと思うんです。
– お昼時の公園って、生態系が豊かかもしれないですね。都内では、意外とそんな場面少ない気がしますが。
西田:印西で、そんな気づきに出会ったわけです。人の属性が均一だと、意外と身動きが取りづらい。だけど、色々な人がいると柔軟さがでる。
– 素直に考えて、豊かな環境ってそうですよね。口当たりのいい言葉に踊らされて、何か大事なことを失っている気がします。
– 風通しが大事です。「ジンザイ」の数だけ色があって、その色彩が混ざり合って、街というカルチャーを織りなしている。というのがこの連載のテーマなんですが、そんな印西の空気は大切にしていきたいものです。
西田:実際に、同じ空間に居ると「見る」以外の五感の情報が沢山、入ってきますよね。今のオンラインは、ほぼ視覚の情報だから、なかなか勝てない。でも、だんだん進化していくと思うので、現場とデジタルがうまく噛み合っていくといいですね。
PROFILE
西田 恵
博士(医学)、研究主任。竹中工務店技術研究所 環境・社会研究部社会システムグループ所属。「健築」プロジェクトを中心に、「歩く姿の可視化」「笑顔を増やして健康な地域づくり」といった研究や取り組みを実施している。
LINK
・竹中技術研究所
・調の森 SHI-RA-BE®︎
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千葉県北西部に位置する印西市は、千葉ニュータウンをはじめとする住環境と豊かな自然に恵まれ、「住みよさランキング」7年連続の全国1位も記録しています。しかし、そんな“住みよさ”の一方で、個性があまり目立たない……という声もちらほら。
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